【製品レビュー】UJAM Symphonic Elements BRAAASS

多彩なプリセット&スタイルがさまざな用途に対応する
ハンス・ジマーがコレクションしたブラス音源

UJAM(ユージャム)社共同創業者で作曲家のハンス・ジマーが、長年にわたり集めたブラス音源を詰め込んだSymphonic Elements(シンフォニック・エレメンツ)シリーズ最新作“BRAAASS(ブラス)”。金管楽器のオーケストレーション&リフに特化し、バラエティ豊かなプリセット&スタイルを収録する。

トランペットやホルン等の中高域系(High Brass)、トロンボーンやチューバ等の中低域系(Low Brass)の2ゾーンで音色管理をするシステムで、楽器種&人数、リフ&アーティキュレーション&トップノートなど楽器由来のパラメーターはプリセットに依存しエディットはできない(High&Lowのパンニングは可能)。なぜなら金管アレンジはオーケストラ理論の熟知が必須であり、下手にイジると破綻してしまうからだ。一番“美味しい”音域で最高峰の演奏を収録するこの“BRAAASS”に難しいことは全部委ねてしまおう。

例えばプリセットの“01 Trusty Horns”(“Phrases”キーは豪華なA1&Key指定なし)のC4とF♯4を交互に弾く。メジャー・コードの緻密なリフとSF系サントラ同等の“生”の迫力。PCM系とは異次元の解像度に驚愕とする瞬間だ。

ここで中央の“Crossfade”をLowに振り切ればチューバ系がルート主軸のリフを淡々と刻む。右へ行く程にトロンボーン、ホルン、トランペットと楽器&リフが増加し中央で最も豪華になるのだが、完全シームレスでスイッチ感も皆無なのがすごい。そしてHighへ行く程にトランペット系のリフ主体となる。

ベロシティ非対応の代わりに左下の“Min〜Max”(MODホイール)スライダーで楽器数やブレス感圧の調整が可能、Minの囁くような演奏からMaxの突き刺すような感じまで自由自在だ。さらにピッチベンドでは先のLow〜Highのグラデーションが操作可能で(ベンド機能はなし)すべてが超スムースで最大の即戦力だ。なお単音プレイは左下“Style”からBasic→“Long Unison”を選ぶとよい(音域は1オクターブ)。

本製品は1&2キーでコードを認識する。例えばド=C、ド&レ=D7、ド&ミ♭=Cm、ド&ファ=Csus4、ド&ファ♯=Cdim、ド&シ♭=C7、と度数でコードを判別再生する(C7♯9やC69も欲しかった)。任意キーの指定も可能だ。ハ長調(Key=C)のクロマチックは画像❶のコードを再生する一方で“じゃあセブンス系は?”と思っても本品は4和音を認識せず”ドミソシ”も単なる“C”となる。

画面❶

そこで中央下の“Bass Notes”を利用して分数(on)コードを再現してみよう。CM7=“Em on C”なのでE3かE4(Em)を弾きつつC2を弾くとLowパートのルート楽器がドになり見事にCM7の響きとなる。同様にAm7=“C onA”、F♯m7♭5=“Am on F♯”、また“F on G”、“G on F”、“G on C”なども美味しい出音感だ。クリシェやCsus2をさまざまなルートで追い込むのも悦楽。左様に“3和音&ルートの原則”は美しい。指揮者目線の大胆&繊細な魂が宿る本製品。駆使するほどに金管の“積み”や相対音感も成長するだろう。

YouTubeショートなどのBGMやジングル効果音にも最適だ。左手でピッチベンド&MODホイール、右手指2本で適当に弾くだけで瞬時にハリウッド級サントラが完成! また同シリーズのSTRIIIINGSやDRUMSの併用でさらに豪華なオーケストラを超手軽に堪能できるのも特筆だ。

Finisherエフェクトをはじめ、他にもユニーク&スペシャル機能を搭載。まず無料トライアルで使い倒してみよう。UJAM沼にハマっても責任は取れないので悪しからず(笑)。(文:近藤昭雄)

製品情報

UJAM Symphonic Elements BRAAASS

価格●25,100円

Requirements

●対応OS:Windows 10以降、MacOS X 10.15 以降、64 bit(32 bit 非対応)、Apple M1 ネイティブ対応●必要スペック:8 GB 以上の RAM、6.31 GB以上の空き容量、1280×768 px 以上の解像度、インターネット環境●プラグイン形式:VST(2 & 3)、AU 2、AAX

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