【製品レビュー】KORG NTS-2 oscilloscope kit/PATCH & TWEAK with KORG

オシロスコープ、ウェーブ・ジェネレーター、
スペクトラム・アナライザー、チューナーの一体型キットと
豪華なシンセ・ガイドブックがセットになって登場

この製品は、NTS-2という制作時に役立つツールを備えた小型の製品が簡単に組み立てられるNu:Tektのキットと、BJOOKS社発行のシンセサイザーの豪華なガイドブック『PATCH & TWEAK』シリーズの最新タイトルがセットになったもので、すべてのシンセ・ユーザー、特にモジュラー・ユーザーにはお勧めしたい商品だ。

Nu:Tekt NTS-2 oscilloscope kit は、4chオシロスコープ、ウェーブ・ジェネレーター、FFT/スペクトラム・アナライザー、そしてチューナーという4つが1つになったかなりの多機能製品。電源は単4電池2つ、あるいはUSB-C電源が使用可能になっていて、持ち運びできて非常に小型だ。

入力端子はステレオ・ミニで2つ、つまり4入力。これらの音は、THRUジャックで電源オフ時もスルーされる。これは重要なことで、わざわざ出力を分岐しなくても、インサートで挟み込んで使っていれば、未使用時にもそのまま入力信号を経由させても問題がない。それとは別に、ウェーブ・ジェネレーターの出力として、2つのアウトプットを備えている。

本体を見ていくと、ディスプレイに表示されるメニューのための5つのボタン、スタート/ストップ・ボタン、パラメーター値を変更するツマミが1つというシンプルなもの。

では4つの使い方を順に紹介しよう。まずはオシロスコープだが、これは入力された波形を表示するもので、入力電圧に合わせて縦と横幅を設定できるのはもちろん、最大4つの入力を同時に1画面に表示することができる。また、2つの入力のXY表示も可能だ。

最大4つの入力を同時に表示することができるオシロスコープ
ウェーブ・ジェネレーターでは、オシレーター、LFO、パルス波、ノイズ、エンベロープを調節可能

次はウェーブ・ジェネレーターだ。その能力を見ていこう。オシレーターとは言わずにウェーブ・ジェネレーターと言っている点に着目してほしい。通常のオシレーター以外にも、LFO、パルス波、ノイズ、エンベロープをジェネレートすることができる上、2つの出力を別々に設定できるのも魅力。

まずは単純にオシレーターとして。サイン波、矩形波(パルス波)、三角波、ノコギリ波(Rise/Fall)が選択できる上、それぞれにシェイプとフェイズが可変できるので、矩形波でのパルスのデューティー可変はもちろん、サイン波や三角波はノコギリ波あたりまでさまざまな倍音を含んだ形に変形させることができる。あとはレベルとピッチを設定してやれば良い。鳴らし方も、常に鳴った状態、スタート/ストップ・ボタンで1回だけ、または押している間だけという3つの演奏方法が選択できる。

次にLFOとして使用する方法だ。0.01Hz〜10kHzというスピード(レート)はかなりの幅の広さ。波形はオシレーターと同様だが、シェイプによる変形はできない。+、−、±と値の範囲が変えられるのは、LFOとして使うときは非常に便利だ。また、フェイズによってLFOのスタート位置をずらせるのも嬉しい。

ノイズ・ジェネレーターとして使用する場合は、ホワイト、ピンクの2種類の選択と、周期的にノイズを出したり止めたりするデューティー、その間隔のタイムが設定できるのだが、これはちょうどノイズにアンプのLFOがかかったような感じになる。

矩形波としての使用は、トリガー信号、クロック信号として利用すると考えると良いだろう。モジュラー・シンセにはぜひとも欲しい機能だ。0.5〜600BPMの範囲で速度を設定、もちろんデューティーも変えられる。

エンベロープはARタイプをLFOのように使うタイプで、シェイプの設定でアタック、リリースのどちらを傾斜させるか、デューティーでその長さ、カーブのリニア/エクスポネンシャルの切り替えが行える。こちらもボタンで1回だけエンベロープを動作させたり、タイムで設定した周期でLFOのように機能させるかの設定ができる。モジュラー・シンセやセミ・モジュラー・シンセと組み合わせて使えば、かなり多機能なモジュールを2つ手に入れたことになるだろう。

入力信号のスペクトルを表示するFFT/スペクトラム・アナライザー
チューナー・モードでは、2つの音源を同時にチューニングできる

FFT/スペクトラム・アナライザーは、FFT(高速フーリエ変換)によって入力信号のスペクトルを表示する。横軸に周波数帯域が0から20kHzで表示され、拡大/縮小とポジション移動ができるので、全体の倍音構成を見ることもできるし、各成分を拡大して細かく見ることも可能だ。

チューナー・モードは一般的なチューナーとして機能する。表示はアナログの針メーター・タイプとデジタル・メーター・タイプの2種類から選べ、さらにオシロスコープの波形も同時にチューナー画面に表示させることができる。A=440Hzが基準になっているが、キャリブレーション設定で410〜480Hzの範囲で可変。インプットの選択は、4つの入力以外にも入力1のLとR、または入力2のLとRで2つのメーターによる同時チューニングが可能になっているのはとても面白い。2つの音源を同時にチューニングできるのはもちろん、コーラスのかかったステレオの音源を入力すれば、左右でピッチが揺れているのがメーターで確認できる。

次にガイドブックの『PATCH & TWEAK with KORG』だが、これまたすごい内容。残念ながら英語なのだが、表紙は非常に厚手でしっかりした図鑑のような作り。フルカラーで200ページ以上。とにかく図や写真がとてもわかりやすくて素晴らしい。アナログ・シンセ、モジュラー・シンセの基礎知識、有名アーティストや開発者のインタビュー、パッチング例やTIPSなども紹介されていて、価値のあるものだ。アープ2600やコルグMS-20のパッチング例は、英語がわからなくても再現できるだろう。また、後半にはアープ社とコルグ社の創設からの歴史や歴代のシンセサイザーなどが写真入りで紹介されていて、読み応え十分だ。このガイドブックはシリーズですでに何冊か発売されているようで、どれもシンセ・ファンには気になるものと言えるだろう。(文:松前公高)

フルカラー200P以上の豪華なガイドブック『PATCH & TWEAK with KORG』

製品情報

KORG NTS-2 oscilloscope kit/PATCH & TWEAK with KORG

価格●30,800円

Specifications

●オシロスコープ:[モード]Single、Stereo(Input1L-INPUT1R、Input1L-Input2L、Input2L-Input2R)、4ch、XY(Lissajous、2ch)/[Vertical]10mV〜5V/div、AC/DC MODE switchable/[Horizontal]50us〜1s/div/[トリガー] Auto、Rise、Fall、Single(rise)、Single(fall)●FFT(スペクトラム・アナライザー):[入力]mono(1L、1R、2L、2R)/[周波数範囲]20Hz〜20kHz●ファンクション・ジェネレーター:[周波数種] sine、square、triangle、saw、noise、pulse、envelope/[周波数範囲]1Hz〜10kHz、Hz/NOTE mode switchable、1ms〜10s、sec/BPM switchable(pulse、envelope mode )/[出力レベル]10Vpp max、V/dB mode switchable● チューナー:[Display表示]Needle、Meter/[Input]Mono、Stereo(Input1L-Input1R、Input1L-Input2L)/[Calibration]410-480Hz●入出力:Input(3.5mm Stereo×2、±10V max )、Through Output(3.5mm Stereo×2)、Output(3.5mm Mono×2、±5V max )●電源:単4電池2本(2時間)、USB type-C(2.0、500mA max )●寸法:129(W)×78(D)×39(H)mm●重量:130g(電池含まず)

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