FM/ウェーブテーブルの現在〜ARTURIA DX7 V

『FILTER Volume.02』掲載企画“FM/ウェーブテーブルの現在”では、シンセ・シーンで再び注目を集めているFM/ウェーブテーブル・シンセサイザーを特集。各メーカーからリリースされている最新のFM/ウェーブテーブル・シンセのレビューをWebでも公開! 

実機を忠実に再現し
FM初心者にも理解しやすい操作性を実現

DX7 Vは、FMシンセサイザーのパイオニアであるヤマハDX7を蘇らせたソフトウェア・シンセサイザー。実機を踏襲したパステルのカラーリングも美しい。使いやすく工夫された音色ライブラリーにはDX7のプリセットも搭載。有名な11番のエレピをはじめ、再現性も非常に高い。さらにビンテージモードを使えば、実機のややノイジーなDAコンバーターが再現されるし、ベロシティ・レンジをDX7に設定すると実機の鍵盤同様に高いベロシティが制限される。なお、打ち込みなどで音色が柔らかいと感じられる場合は、ベロシティ・レンジをFullに設定するといいだろう。

DX7 Vは、単にDX7を再現しただけではなく、大幅な機能強化も実現している。オシレーターの波形には、DX7だけでなく、TX81Zなど他のFM音源や正弦波合成による波形を内蔵。アナログ・シンセサイザーのようなオシレーターシンクも装備する。さらに強力なのは、オペレーターごとに装備されたHP/BP/LPのレゾナンス付き3モード・フィルター。ただしフィルター専用のエンベロープはないので、積極的に音作りするなら、新機能のモジュレーション・マトリクスとモジュレーション・エンベロープを用いる。なお、オペレーターはオシレーターをオフにして、フィルター機能のみのユニットとしても使える。そのエンベロープだが、アナログライクなDADSRモードやループ可能な最大16ポイントの設定も可能で使いやすく柔軟な設定が行える。

DX7 Vでは、ユニゾン・デチューンを使って、DX7IIのような厚く揺らぎのあるサウンドを出すことも可能。さらに内蔵エフェクターで、空間系や歪み系の効果を加えられる。FM音源とエフェクターの相性の良さにあらためて感心させられる。高機能なDX7 Vだが、ユーザー・インターフェースはよく考えられていて、とても使いやすい。実機を操作した経験がある人なら、すぐに音作りを始められるだろうし、初めてFM音源を使う人にとって、リアルタイムで変化する波形表示が理解を助けてくれるだろう。まずは聴いて、触ってみてほしい。(文:高山博)

製品情報

ARTURIA DX7 V

価格●オープン・プライス

Specifications(V Collection 9)

●収録ソフト:Jun-6 V、Vocoder V、OB-Xa V、Jup-8 V、Synthi V、Buchla Easel V、Mini V、Matrix-12 V、Prophet V、CS-80 V、SEM V、ARP 2600 V、Modular V、Emulator II V、CZ V、DX7 V、Synclavier V、CMI V、Stage-73 V、Mellotron V、Piano V、Solina V、ClavinetV、Farfisa V、Wurli V、VOX Continental V、B-3 V、Analog Lab V、MS-20V、SQ80 V、Augmented STRINGS、Augmented VOICES●Windows:Windows 8.1以降(64ビット)●Mac : Mac OS X:10.13 以降●RAM:4GB ●CPU:3.4GHz●HDD容量:32GB以上の空き容量●OpenGL2.0対応GPU●動作環境:スタンドアローン、VST、AAX、Audio Unit、NKS(64ビットDAWのみ)

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