FM/ウェーブテーブルの現在〜YAMAHA reface DX

『FILTER Volume.02』掲載企画“FM/ウェーブテーブルの現在”では、シンセ・シーンで再び注目を集めているFM/ウェーブテーブル・シンセサイザーを特集。各メーカーからリリースされている最新のFM/ウェーブテーブル・シンセのレビューをWebでも公開! 

コンパクトなボディに
DX7のDNAと先進技術を凝縮し
自由な音作りを実現

ヤマハreface DXは、1983年に発売され一世を風靡したヤマハDX7の復刻版と言えるFMシンセ。さまざまな名機が現代に生まれ変わる中で気になるのはその再現性と、より進化した部分だと思います。

かつてのDX7には6つのオペレーターがあったので、reface DXが4オペレーターと聞くと音作りの可能性が狭められたようですが、実際はその逆。DX7ではフィードバックが1つのオペレーターにしか付いていませんでしたが、reface DXは4オペレーターすべてがフィードバック機能を持っています。オペレーターは正弦波の発振器なので、フィードバックを備えているということは自分自身に変調をもたらして単独で正弦波以外の波形も出せてしまうということ。FB値を上げるとノコギリ波に、下げると矩形波に近づきます。12アルゴリズムでも音色エディットの幅は広がりますね。

4バンク×8の32個のプリセット音源を呼び出してみると、これぞレジェンドと言えるFMらしい透明感あるエレピ・サウンド、フリーケンシー操作で七変化する金属系代表のきらびやかなベル・サウンド、アタック感の硬さが気持ち良いパーカッシブでキレのあるベース、インダストリアル・ノイズなど、定番の懐かしい音色はもちろん揃っていますが、出音のダイナミクスが素晴らしいためどの音色も色褪せない新鮮味を持っています。

4オペレーターすべてにフィードバック機能を搭載。プリセットは4バンク×8の32個を内蔵

プリセット音源には最大2種類のエフェクトがあらかじめ割り当てられているのですが、コーラス、フランジャー、フェイザーといったモジュレーション系が得意なのはもちろん、“タッチ・ワウ”が意外と一押しなのでは?というくらいサウンド・メイキングを楽しませてくれるので、フィルター操作をする感覚で使ってみると面白いですよ。

refaceシリーズは鍵盤の弾きやすさも人気の理由の1つかと思いますが、演奏する楽しさを実感するのは、“VEL.S”(ベロシティ・センス)を上げた時(鍵盤のイニシャルタッチの強弱に応じて音量や音色も変化)と、EGを細かく設定した時。ベロシティによる感度がそのまま変調の具合につながっているのが面白いし、時間的変化の自由度が高いのはFM音源ならではです。EDITボタンで設定できる4つの項目EG level/EG rate/LFO/Pitch EGが一列に並んでいることで、オートメーションを描くように効率よくサウンド・デザインを詰めていけます。

levelとrateでアナログ・シンセサイザーのADSR方式では得られない特殊なエンベロープを描けるのが特長ですが、鍵盤を離した後のレベルと変化速度を決める際、最大同時発音数8音を活かしてrateを下げておき連続して鍵盤を押さえれば、まるでアンサンブルをしているかのような多彩で複雑な音色を演奏できます。追加でPitch EGをエディットし、LFOのスピードやピッチ・モジュレーション・デプスを発音中に上下させれば、コントロールが難しいS&Hでさえも思いどおりにプログラムでき、ノイズ成分の多様性にも驚かされます。また、ベロシティ・センスとともにキーボード・スケーリング機能を意識するだけで、弾く音域によるレスポンスの変化を細かなニュアンス表現として音色に反映できるので、いろいろと試してみてください。

EG level(写真)とrateで、各オペレーターごとに特殊なエンベロープを描くことができる

ピッチ、音色、音量の3要素を一括してコントロールしているという感覚の気持ち良さと、大胆な変調によって得られる音色の無限の可能性がreface DXの魅力だと思うのですが、プリセットからイメージに近いものを選ぶのはなかなか難しいですよね。まずはシンプルな音色を分解して構造を理解するためにも、“FM”という究極的なネーミング・セクションのFREQ/LEVEL/ALGO/FBをいじってみるのがおすすめです。

reface DXは、DX7のルックスが受け継がれていることにまずときめきました。小さなグレーの筐体にグリーンの文字が入ったシンプルな長方形ボタン。懐かしさと先進技術が詰まったreface DXを
ぜひ体感してみてください!(文:AZUMA HITOMI)

FMセクションのパラメーターを、画面横のタッチ式スライダーで変更可能(写真はFBの操作画面)

製品情報

YAMAHA reface DX

価格●オープンプライス(市場予想価格:49,500円)

Specifications

●鍵盤:37鍵HQ(High Quality)MINI鍵盤※イニシャルタッチ付き●音源方式:FM音源●最大同時発音数:8●音色:タイプ数12(アルゴリズム)、ボイス数32●エフェクト:ディスト―ション、 タッチワウ、 コーラス、 フランジャー、 フェ―ザ―、 ディレイ、 リバーブ●フレーズルーパー●ディスプレイ:フルドットLCD(128×64ドット)●接続端子:OUTPUT(L/MONO、R/標準フォーンジャック)、AUX IN(ステレオミニジャック)、 MIDI(ミニDIN IN/OUT)、ヘッドフォン(ステレオ標準フォーンジャック)、サステインペダル、USB(TO HOST)、DC IN(12V)端子●アンプ/スピーカー:アンプ出力2W×2、スピーカー3cm×2●電源:電源アダプターPA-130B(またはヤマハ推奨の同等品)、または単3乾電池×6(別売)※充電式ニッケル水素電池対応●寸法:530(W)×175(D)×60(H)mm●重量:1.9kg

お問い合わせ

ヤマハお客様コミュニケーションセンター シンセサイザー・デジタル楽器ご相談窓口 TEL.0570-015-808 つながらない場合は TEL.053-460-1666