【製品レビュー】KORG microAUDIO 722
miniKORG 700Sのフィルターを内蔵し楽器的に使える
充実スペックのオーディオ・インターフェース

コルグが2025年1月のNAMMショーでプロトタイプを発表していたオーディオ・インターフェースmicroAUDIO 722が、2026年1月にリリースされた。本機は最大24bit/192kHzに対応したコンパクトなオーディオ・インターフェースだが、最大の特徴は、1974年にリリースされたアナログ・シンセサイザー、miniKORG 700S(1973年発売のminiKORG700に2基目のオシレーターを追加した改良版)に搭載されていた、いわば“ 本物の” ビンテージ・アナログ・フィルターを内蔵している点にある。
フィルターの話に入る前に、まずはオーディオ・インターフェースとしての基本仕様を見てみよう。オーディオ・クオリティは前述のとおり最大24bit/192kHz。背面には2イン(XLR/標準フォーン・コンボ端子)/2アウト(標準フォーン端子)、独立したボリュームを備えたヘッドフォン・アウト、MIDI IN/OUT、USB-C端子を装備している。フロント・パネルのツマミ類は直感的でわかりやすく、中でもMONITOR MIXツマミを使えば、入力信号のダイレクト音とUSB 経由のオーディオとのバランスを調整できる。つまり、録音中の声や楽器を遅延なしでモニターできる点が非常に便利だ。
筆者が所有する2台のオーディオ・インターフェースと本機を比較試聴してみた。アナログ・フィルターを通した際の音の滑らかさは言うまでもなく素晴らしいが、フィルターを通さない状態でも基本的に温かく、滑らかな音質であると感じた。一方で聴感上の解像度は実は高く、それと中低域の滑らかさが同居している印象だ。バーチャル・アナログ系のソフトシンセ再生では特にメリットがあるサウンドであると言え、数字上のスペックを超えた(もちろん本機は24bit/192kHz のハイ・スペック機ではあるが)、他ではなかなか得られない魅力的なキャラクターだと思う。
700Sフィルターをかけ、レゾナンスをやや上げつつカットオフを動かしたときのサウンドの自然さは特筆すべきものがある。昨今の優秀なデジタル・シミュレーションであっても、まだ追いつけていない領域だと感じた。このレゾナンスは自己発振に至らない設計だが、シンセサイザーよりもスピーカーやヘッドフォンに近い位置で使われるオーディオ・インターフェースとしては、ユーザーの耳を保護するという意味でも理にかなっていると思う。
フィルターのカットオフは手動でDJ 的に操作することもできるし、内蔵LFO や入力信号に反応するエンベロープ・フォロワーを使ってより楽器的、エフェクター的な使い方も可能だ。入力、フィルター、出力のルーティングは、パネル上(CUTOFFツマミ右下)からも、PC/Mac用のソフトウェア・エディターからも変更できる。インプットにフィルターをかけた状態でDAWにかけ録りすることも、USB 経由でDAWやソフトシンセのサウンドにフィルターをかけて再生することもできる。
本機には、フィルター以外にもPC/Mac上のソフトウェア・エディターから操作するノイズ・ゲートやコンプレッサー/リミッターといったエフェクトが内蔵されている。パラメーターは基本的なものに絞られているが、こうしたエフェクトが標準で搭載されている点からも、本機が単なるインターフェースではなく、かなり“ 楽器寄り” の思想で設計されていることがうかがえる。
microAUDIO 722は、高いオーディオ・クオリティを備えつつ、他機種にはないアナログ・フィルターやコンプレッサーなどを内蔵し、楽器としても活用できるユニークなオーディオ・インターフェースだ。今後の音楽制作を、よりバラエティ豊かに彩ってくれる存在になるに違いない。
文:堀越昭宏

製品情報
KORG microAUDIO 722
メーカー希望小売価格●32,780円(税込)
Specifications
●サンプリング・レート: 最大192kHz 対応●ビット・レート:24bit ●接続端子:IN 1/2(XLR /6.3mm TRS・バランス)、OUT 1/2(6.3mm TRS・バランス)、MIDI IN/OUT(3.5mm TRS MIDI Type A)、USB(Type-C)、ヘッドホン(6.3mm ステレオ)●バンドル・ソフトウェア:FilterArk、KORG Software Bundle ●電源:USB バスパワー●外形寸法:207(W)X 128(D)X 68(H)mm ●重量:553g
※Ver 1.01でのアップデートでは、ヘッドホン/メインアウトが独立してアサイン可能に。DJソフト使用時にCUE信号をヘッドホンでモニターをする、DAWのクリック音をヘッドホンで確認するなど、用途に応じて柔軟なモニタリングが行えるようになった。
お問い合わせ
コルグお客様相談窓口 https://korg.com/support_j/


