ロック・サウンドの中で活用できるシンセサイザー ~ YAMAHA MONTAGE M

『FILTER Volume.09』掲載“ロック・サウンドの中で活用できるシンセサイザー・レビュー”では、ロックというジャンルでもポテンシャルを発揮するシンセサイザーをピックアップ。それぞれの機種の特徴に着目しレビューした記事をWebでも公開!

ラウドなバンドの中でも際立つ3つの音源を搭載したフラッグシップ・シンセ

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MONTAGE Mシリーズは、AWM2、FM-X、AN-Xの3つの音源を持ち、最大同時発音数400という驚異的スペックのシンセサイザーです。3つの音源とは、ヤマハのコンサート・グランドピアノ“CFX” の波形を持つCFX2をはじめ1パートあたり最大128エレメントを備えたサンプリング・ウェーブフォーム音源AWM2、ヤマハの強力なFM 音源8オペレーター88アルゴリズムを実装するFM-X、そして今回のMシリーズから新たに加わった、ビンテージ・サウンドから革新的なサウンドまで自由に創り出せる3オシレーター1ノイズのバーチャル・アナログ音源AN-Xです。さらに本機には、6イン 32アウトのUSBオーディオ・インターフェースも搭載されています。そして何より一部では“ 富士山” の愛称で親しまれている(?)スーパーノブが本シリーズのアイコンでしょう。

今回お借りしたものは、MONTAGE M6 OS V3.0βでした。試奏して感じたことは、轟音ギターや音圧あるドラムが入ったラウドなバンド・サウンドの中でも負けない押し出し感を持っていることです。その理由の1つがPERFORMANCEモードです。同モードでは、1パフォーマンスに最大16パートの音色を設定できるので、AWM2、FM-X、AN-Xの各音源を持つシンセ・リード系やオルガン系音色を複数パートに割り当て、レイヤー設定で同時発音すれば図太い抜けのあるリードを作ることができます。さらにそれらをモーション・コントロール(前述したスーパーノブを使って全パート共通のパラメーターを変化)で音色を変化すれば、バンド・サウンドの中での本機の存在感は際立つでしょう。また、各パートのミックス・バランスやスーパーノブ設定、モーション・シーケンスタイプなどを8つのシーンとして設定できるので、ライブで楽曲ごとに演奏表現を瞬時に切り替えたい、というニーズにも応えます。もちろんAWM2、FM-X、AN-Xの各音源単体でも十分にバンド・サウンドに調和できます。AWM2のピアノやストリングス、あるいはオルガンなどのリアル楽器波形の存在感は、ロック・サウンドの中にあって緩急の表現力を加えることができるでしょう。

そして特筆すべきは、MONTAGE Mをソフトシンセとしてプラグイン化したExpanded Softsynth Plugin for MONTAGE M(ESP)の存在です。筆者はアップルM2 Mac+RME fireface ucx ii 上でESPを試奏しましたが、その音像はMONTAGE Mの完全互換を実現していると感じました。

そのほか気に入った機能として、SSS(シームレス・サウンド・スイッチング)やNAVIGATION、パフォーマンスの選択方法があります。SSSは、LIVE SET上でパフォーマンスを切り替えた時に、音が不自然に途切れないように次の音色に繋がるといった、ライブ演奏時に重宝する機能です。NAVIGATIONでは、音色エディットする際に音色の各種パラメーターやエフェクト設定がブロック・ダイヤグラムのような全体像として見ることができるので、音の成り立ちの俯瞰的な確認にも役立ちます。パフォーマンスの選択は、CATEGORYキーからPianoやBassといった音色別から選択できるほか、各種類の音源からも選択できます。AWM2の音色だけを探したい場合などに大変便利でした。エフェクトの種類も豊富で、OS V3.0ではCS-80リング・モジュレーターが追加。変調の深さを時間的に変化させられるので、鍵盤を押し続けると独特な音像変化を楽しめます。

最後にマニアックな視点ですが、本機セットアップ時に背面の各端子へケーブル類を接続する際、その挿抜感に本機の品格を感じました。時間に追われるステージ上ではどうしてもケーブル類のセッティングに焦りがちですが、演奏者をなだめるようなしっかりとした各端子の品質も本機の魅力の1つです。

文:エフオピ(dewey delta)/taira(dewey delta /96†)

製品情報

YAMAHA MONTAGE M

メーカー希望小売価格●MONTAGE M6:440,000円、MONTAGE M7:473,000円、MONTAGE M8x:517,000円

Specifications

【鍵盤】61鍵FSX 鍵盤(イニシャルタッチ/ アフタータッチ付)、76鍵FSX 鍵盤(イニシャルタッチ/ アフタータッチ付)、88鍵GEX鍵盤(イニシャルタッチ/ポリフォニックアフタータッチ付)【音源部】●音源方式:Motion Control Synthesis Engine/AMW2:最大128 エレメント、FM-X:8 オペレーター、88アルゴリズム、AN-X:3オシレーター、1ノイズ●最大同時発音数:AWM2=256音(ステレオ/モノ波形いずれも)、FM-X=128音、AN-X=16音●マルチティンバー数:内蔵音源16パート、オーディオ入力パート(A/D、USB)●波形メモリー:プリセット=11.29GB 相当(16bit リニア換算)、ユーザー=3.7GB●パフォーマンス数:3,487●フィルター:18 タイプ●エフェクト:リバーブ×13タイプ、バリエーション×91タイプ、インサーションA×91タイプ、インサーションB×94タイプ、マスターエフェクト×28タイプ、A/Dパート:86タイプ、パート2~16:91タイプ、マスターEQ (5バンド)、1stパートEQ (3バンド)、2ndパートEQ (2バンド)【シーケンサー】●容量:1パターン/ソング=約 130,000音●音符分解能:四分音符/480●パターン:パターン数=128、トラック=16シーケンサートラック、テンポトラック、シーントラック●アルペジエーター:最大8パート同時オン可、プリセット=10,922タイプ以上、ユーザー=256タイプ【その他】●ライブセット数:プリセット=256以上、ユーザー=2,048●接続端子:USB TO DEVICE [1] / [2]、[USB TO HOST]、MIDI [IN] / [OUT] / [THRU]、FOOT CONTROLLER [1] / [2]、FOOT SWITCH [SUSTAIN] / [ASSIGNABLE]、OUTPUT(BALANCED) [L/MONO] / [R](TRSバランス出力端子)、ASSIGNABLE OUTPUT(BALANCED)[L] / [R](TRSバランス出力端子)、[PHONES](ステレオ標準フォーンジャック)、A/D INPUT [L/MONO] / [R](標準フォーンジャック)●寸法:61鍵=1,037(W)×396(D)×131(H)mm、76鍵=1,244(W)× 396(D)×131(H)mm、88鍵=1,446(W)× 460(D)× 170(H)mm ●重量:61鍵=15.3kg、76鍵=17.6kg、88鍵=28.1kg

お問い合わせ

ヤマハお客様コミュニケーションセンター シンセサイザー・デジタル楽器ご相談窓口 TEL.0570-015-808 つながらない場合は TEL.053-460-1666