強力なフィルターを搭載した現行機種レビュー 〜 JOMOX Moonwind Mk2

『FILTER Volume.10』掲載“強力なフィルターを搭載した現行機種レビュー”では、サウンドメイキングで活躍するフィルターを搭載したシンセサイザーをピックアップ。それぞれの機種のフィルターの特徴に着目しレビューした記事をWebでも公開!

2系統のアナログ・フィルターを自在に動かすパフォーマンス志向マシン

ジョモックス社のMoonwind Mk2は、2つのアナログ・フィルターをさまざまなパラメーターで変調して音作りを楽しむことができるマシンだ。ここではその魅力を紹介していこう。

まずは外観から。本体は金属製のしっかりとした白いボディで適度な重みがあり、ツマミ等を動かしていても安定感があって良い。中央には256×64ピクセルのディスプレイとタッチパッドがあり、わかりやすく配置されたボタンやツマミと相まって、さまざまなパラメーターを直感的にコントロールすることができる。

では早速音を聴いてみよう。リズム・ループやシンセなどをインプットしつつ、ファクトリー・プリセットを呼び出してみる。DJミックス時に使えそうな基本的なフィルターから、音量に気を付けないとスピーカーが飛びそうなピーキーなフィルターまでさまざまで、曲に合わせてツマミをいじっているだけでかなり楽しい。

次にメインとなるフィルターの紹介を。本機には2系統の独立したアナログ・フィルターが搭載され、それぞれローパス、バンドパス、ハイパス、ノッチの4種類から選択することができる。ちょっと変わっているのがモーグなどで使用されているラダー・フィルターではなく、オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ回路を使用したフィルターで、パラメーターとしてカットオフ、Q、レゾナンスの3つを設定できる。これ、最初聴くと“?”となると思うが、Qだけを上げた場合、レゾナンスからカットオフ周波数を持ち上げるという効果を抜いた状態になるので、フィルターの効果としてはバンドパス的なキツさになりつつ発振はしないという状態になる。

2系統のフィルターは、ステレオ(左右別々)やシリアル(直列)、パラレル(モノラル同時)などさまざまなルーティングで使用でき、さらにそれぞれのアウトをインプットに戻すフィードバックも設定することで、激しいディストーション効果やハウリング的な発振をさせることもできる。さらに16種類のデジタル・エフェクトも内蔵されていて、リバーブ、ディレイなどの基本的なものから、ビットクラッシャーやフォルマント・フィルターなども用意され、それぞれのアルゴリズムごとに3つのパラメーターで音作りが可能。

そしてここまで紹介してきたパラメーターを変調するために、LFO×2(フィルターそれぞれに1つずつ)EG×2(フィルター用、VCA用)ステップ・シーケンサー(最大64ステップ)が用意されている。ステップ・シーケンサーに関しては、2系統のフィルターそれぞれのカットオフ、Q、レゾナンスを別々にコントロールできるので、かなり複雑な動きをさせることができる。

ステップ・シーケンサーの入力に関しては、ツマミでリアルタイム・レコーディングすることはもちろん、液晶に最大32ステップまで表示されるので、その下のタッチパッドによって絵を描くように入力することもでき、思ったイメージを形にしやすい。また、ノイズ・ジェネレーターも内蔵され、メタリックな倍音成分のノイズを出力できるので、本体のみで独特なパーカッション・フレーズなどを作ることもできる。

外部からのコントロールとして……MIDIノートでカットオフが動くので、レゾナンスを上げて発振させた音に音程を付け、EGも設定することでシンセのように演奏することも可能。アナログ・フィルターなのでピッチが不安定なのもいい感じだ! さらに外部からのCVでカットオフなどのコントロールはもちろん、各フィルターに3つまでパラメーターをアサインしてコントロールできるので、裏技的にCV OutからCV In に接続し、内部ではコントロールできないパラメーターをステップ・シーケンサーでコントロールするのもお勧めだ!

そして、音色的な設定(フィルター、エフェクトなど)に関して256種類、ステップ・シーケンサーに関して32種類メモリー可能なので、よく使用する設定を保存しておくと良いだろう。アイディア次第だが、例えば8分音符裏でフィルターが開くようにしてサイドチェーン的な効果を出したり、16分音符で左右それぞれ別々に動かすことでパッドなどのロングトーンの音色に動きを付けたり……とそれぞれ自由な解釈で活かしてみてほしい。ライブやDJ プレイ時にリアルタイムで動きをつけたい時や、曲作りの際のちょっとした味付けに、Moonwindお勧めです!

文:守尾崇

製品情報

JOMOX Moonwind Mk2

価格 ● オープン・プライス(市場予想価格:173,580円前後/税込)

Specifications

●完全アナログの低ノイズ・マルチモード・フィルターを2機搭載●OTA採用●フィルターごとのQとレゾナンスを個別に調整可能●フィルターごとにローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチの形状をアサイン可能●各フィルターは相互に接続可能●フィルターごとにカットオフを制御するLFO波形を64個から選択可能●フィルターごとにエンベロープ・アマウントを調整可能●MIDI経由でトリガーされる、フィルターとVCA用の2つのADSRエンベロープ●16個のアルゴリズムを搭載したデジタル・エフェクト●シーケンサー:1パターンにつき最大64ステップ、ステップとフィルターごとにカットオフ、Q、レゾナンスの値を記録可能●入出力端子:オーディオ入力(L/MONO、R)、オーディオ出力(L、R)、AUX入力(L、R)、MIDI(IN/OUT/THRU)、CV出力x2、固定CV入力x3、プログラマブルCV入力x6●外形寸法:318(W)×180(D)×44/後72(H)mm●重量:1.8Kg

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